研修プログラムの目的と特色

医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に基づいて、すべての研修医が,全人的で科学的根拠に基づき日常診療で頻繁に遭遇する病気や病態に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアに必要な基本的な診療能力(態度、技能、知識)を身に付けることができる内容をもった研修を行うことがこの研修プログラムの目的である。

このプログラムでは近畿大学病院を管理型の基幹病院として、大学病院と協力型臨床研修病院および臨床研修協力施設が病院群を形成して研修医を受け入れるため,プライマリ・ケアをはじめとした様々な基本的診療能力をより効率的に研修医が身に付けられるように企画されている。さらに基本的診療能力を研修する場として、研修医自身が協力型病院・協力施設を選択できるよう配慮されており、将来の専門性の継続性を研修医が決定することができる。

研修医は研修期間中、総合医学教育研修センターに所属する。<br>ローテートの決定は、基本的には研修医の選択権を尊重した統一プログラムでローテーションを実施する。終了時の評価で必修となる研修内容を達成するために、104週の臨床研修期間を設定している。<br>初期臨床研修プログラムでは、内科24週、救急科12週、外科、産婦人科、小児科、精神科を各4週、麻酔科ないし外科を4週。地域医療4週。選択科として44週ローテートを行う。また、連携型病院において一般外来研修を行う。<br>※周産期・小児科・産婦人科重点プログラムについては、別途参照のこと。

研修体制(研修医の身分・所属・スーパーローテートの決定法)

  1. 指導体制:病院長のもとに研修管理委員会を置く。また、必要な研修の事務的処理を効率的に行うために総合医学教育研修センターを設置する。それぞれの構成・業務については規程に従う。実務上必要があれば小委員会を設置する。
  2. 研修指導医:実効のある卒後臨床研修を実施するためには積極的に取り組む指導医の存在が不可欠である。病院としてその養成に努力し、意欲に報いる処遇を明確にする必要がある。研修指導医は診療部長(教授)が推薦する、7年以上の臨床経験を有し、プライマリ・ケアの指導が可能かつ情熱を持つ、指導医講習会修了者を充てる。
  3. 研修は研修指導医、上級医、研修医が診療チームを構成して行われる。
  4. 臨床研修事項に関しては診療部長の了承のもとに研修指導医が優先的に決定するが、常に診療部長に報告しなければならない。診療上の最終責任は診療部長が負う。研修といえども患者に安全な医療を提供することは、全ての医療機関にとって不可欠な要件である。本学では医療安全管理委員会が充分に機能しうる体制になっており、些細なインシデント、アクシデントレポートでも重要な報告として認識すべきである。
  5. 研修医は総合医学教育研修センターを通して指定された評価表により、研修指導医の評価を行うことができるが、それにより研修医の評価が影響されることはない。研修指導医もそれにより任免の可否を問われることはないが、研修指導医として不適切と考えられる点については研修管理委員会が具体的に改善点を指導する。

研修医の研修規定

基本事項

  1. 本院において臨床医学の実地研修を受けるためには、医師国家試験に合格して医師免許を持つものでなければならない。
  2. 当プログラムは厚生労働省が定める医師臨床研修制度(医師法第16条の2第1項)に則ってこれを実施する。
  3. 当プログラムの研修期間は2年間とする。なお研修途中の休止・中断は厚生労働省が定める医師臨床研修制度に則って実施される。
  4. 研修期間中は、当院の職務規定を遵守しなければならない。
  5. 研修医は、指導医のもとに、担当医として上級医の指示する診療を行う。また、診療科以外の部門では指導責任者のもとで研修する。
  6. 研修医は、オリエンテーション・症例検討会・臨床病理カンファレンス(CPC)、各種セミナー等の勉強会に出席しなければならない。
  7. 診療に当たっては、主治医が決定した診療計画に基づき医学的に正しい診療を行う。
  8. 研修医は、各研修施設の医療安全管理体制に従い、患者に対する責任を持って事故の発生を未然に防ぐとともに、事故発生時には速やかに所定の手続きを取らなければならない。
  9. 臨床研修医は臨床研修に専念するものとし、臨床研修病院及び臨床研修協力施設以外の医療機関における診療(いわゆる「アルバイト診療」)を禁止する。

研修医の役割

指導医・上級医と共に入院、外来患者を受け持つ。<br>※研修医は、担当研修医の立場であり単独で患者を担当しない。

研修医の役割

指示を出す場合は指導医・上級医に相談する。特に以下の事項に関する業務を行う場合には、原則として事前に指導医と協議し、指導を受けなければならない。

  1. 治療方針の決定及び変更
  2. 検査方針の決定及び変更
  3. 患者・家族に対する検査方針、治療方針や予後の説明
  4. 診断書の記載
  5. 手術及び特殊な検査
  6. 入退院の決定
  7. 一般外来、救急外来における帰宅及び入院の決定

診療上の責任

研修医が患者を担当する場合の診療上の責任者は、指導医・上級医にある(入院患者及び一般外来は各診療科、救急外来は日当直)。

指導医・上級医の承認

研修医は、指示や実施した診療行為について指導医・上級医に提示する。各指導医・上級医は、それを確認し、診療録に記録を残す。

研修医の指示出し基準

指導医・上級医の指導のもとに行うが、その際には「研修医が単独で行ってよい処置、処方の基準」を参考にする。

研修医の研修規定

病棟

  • 研修医は、プログラムの一環として、担当研修医の立場で病棟での入院診療を行う。
  • 研修医は、指導医・上級医より指定された患者を診療対象とし、指導医・上級医の指導のもとに診療を行う。
  • 研修医は、指導医・上級医と随時コミュニケーション(報告・連絡・相談)を行う。また、他職種との連携を図りながらチーム医療を実践する。自ら担当した症例について、診療計画を立て、症例のプレゼンテーションを行う。診断治療の方向性や成果、問題点などについて、指導医・上級医と議論し診療計画を修正していく。
  • 研修医は、指導医・上級医と共に、あるいは医療チームに加わった上で、ベッドサイドカンファレンス、病棟カンファレンス、症例検討会などに参加し、患者に関する情報を共有する。カンファレンス等の内容を診療録に記載する。退院後1週間以内にサマリーを作成するように努める。
  • 診療対象はローテート中の診療部長により指定された患者とする。
  • 入院患者の診察は原則として病室で行う。
  • 入院患者に対する処置の一部は、処置室で行う。
  • 入院診療記録作成や画像閲覧は、病棟に設置されている電子カルテを用いて行う。
  • 研修医は、病棟において行った全ての診療行為について、入院診療記録を速やかに作成した後、指導医・上級医のチェックを受ける。
  • 研修医は、看護師などの病棟スタッフと協力して診察に当たる。

一般外来及び救急外来

一般外来、救急外来 共通

  • 研修医は、研修カリキュラムの一環として担当研修医の立場で外来診療を行う。
  • 研修医は、指導医・上級医により指定された患者を診療対象とし、指導医・上級医の指導のもとに診療を行う。
  • 診察症例について、外来担当医師とディスカッションを行う。

救急外来

  • 研修医は、一般的な疾患を中心に一次から二次までの救急患者の診療を行う。
  • 平日の夜間帯の患者は、救急担当医と共に担当研修医が対応する。
  • 日祝祭日、日勤、夜間は、救急担当医と共に担当研修医が対応する。
  • 救急担当医の許可、監視の下に研修規定を厳守しながら研修医が診察を行う。診察の最後に救急担当医のチェックを受ける。救急外来患者の帰宅の決定は救急担当医が必ず行う。研修医だけで行ってはならない。
  • 救急外来中は、必ずPHSで連絡が取れるようにしておく。
  • 夜間当直の翌日は、帰宅して休養をとる。

手術室

  • 初めて入室する前には、下記の事項についてオリエンテーションを受けておく。
    • 更衣室、ロッカー、履物、術衣について
    • 手洗い、ガウンテクニックの実習
    • 清潔・不潔の概念と行動
    • 手術室での研修は、麻酔科と外科系各科の指導医の下で行う。
    • 手術室では研修医であることをコメディカルに知らせる。
    • 看護部門、他のコメディカルとの連携を確認する。
  • 帽子、マスク、ゴーグル(希望者)を着用する
  • 不明な点があれば、手術室師長、看護師、指導医・上級医に尋ねる。

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