研修医の部屋 RESIDENT ROOM
ある研修医の一日
呼吸器内科のちょっと忙しい一日
研修医 三橋 理那
※内容は実際の業務を基にしていますが、あくまでフィクションです。
8:30
出勤。研修医室のカルテを開いて、担当患者の検査結果に目を通します。呼吸器内科は抗生剤で加療している患者さまも多く、効果判定のために炎症所見の推移の確認はとても大切。炎症以外の検査値の悪化や異常がないかも忘れずにチェックします。
9:00
病棟で上級医と今後の検査、治療方針について確認。その後、担当患者の回診へ。人工呼吸器の設定を変更した患者さまや、気管支鏡検査を予定している患者さまには、酸素化評価のために血液ガス採血を。指で動脈の拍動、走行をしっかり確認して穿刺します。
11:00
「〇〇さんが湿布薬の処方を希望されています。」「○○さんのバルーン入れ替えお願いします。」病棟看護師さんからPHSに連絡が。急いで患者さまの元に向かいます。
12:00
回診やカルテ記載がひと段落したら、職員食堂でご飯。いっぱい食べて午後からも頑張るぞ。
13:30
午後からは気管支鏡検査です。研修医は気管支鏡を操作する上級医の補助にはいります。さあ、いよいよ検査開始というところで上級医から「やってみる?」とファイバーを手渡され、突然の提案にちょっとびっくり。なんとか気管分岐部までファイバーを進めて、上級医と選手交代。実際に操作してみると、その難しさがよく分かりました。普段難なくファイバーを操作している上級医の先生方に感服です。
14:30
気管支鏡検査の合間に病棟に戻って、胸水貯留の患者さまの胸腔穿刺を実施。エコーで穿刺部位を決定後、しっかり麻酔をかけて留置針を穿刺します。シリンジを引くと胸水がひけてきました。検体採取後、問題なく検査終了です。
15:30
内視鏡室に戻り、2件目の気管支鏡検査。2件目も問題なく終了。
16:30
病棟に戻って、上級医とともにカルテチェック。気管支鏡検査後や胸腔穿刺後の胸部レントゲン検査で気胸の出現がないか確認します。今日のレントゲンは問題なさそうで一安心。
17:15
呼吸器内科・呼吸器外科・腫瘍内科・病理診断科合同のカンファレンスに参加。
18:00
研修医室に戻って、残りのカルテ記載をした後、同期達と少しおしゃべり。
18:30
生駒山に沈む夕日をみながら家路につきます。今日も一日お疲れ様でした。
放射線科のちょっと忙しい1日
大熊 康央
※内容は実際の業務に基づいていますが、あくまでもフィクションです(笑)。
8:30
出勤。研修医室でウオーターサーバーの水を一杯。さあ今日も頑張るぞ。
8:50
午前は造影CTの立ち会い。本日の造影CT患者さまリストに目を通す。
だいたい1日15件。内容は術前精査や不明熱の全身精査、外傷など多岐にわたります。腎機能やアレルギー歴などを事前に調べます。
9:10
造影CT検査のための留置針穿刺(ルートキープ)1件あたり10分の枠なので、手際よく処置を進めて行かなければなりません。いざ造影剤注入。アナフィラキシーは起こしていないか、緊張の連続です。
10:00
「ちょっと気分悪いんですけど...。」検査後に患者さまが訴えた!何やら咳もしてる。まさかアナフィラキシーか!「息がしづらくないですか?」「バイタル測ってください!」看護師さんにお願いしつつ、橈骨動脈に指を当ててみる。幸い大した事はなさそう。暫く待合いで休んでもらい事なきを得た。
12:30
少し予定を押して午前のCT終了。シェラトン都ホテルの職員食堂で美味しいランチタイム。
13:00
研修医室に戻り、書類仕事。キャンサーボードのスケジューリング。ホームページに載せる記事の執筆などなど。その他書類に目を通したりハンコついたりしながらつかの間の休憩。
13:30
CT、MRIなど、参考書を首っ引きで読影。「これ良性ですかね?」「良くなってるやん!」「ここにも転移あるんちゃうの?」厳しくも優しい指導が飛び交います。病院内で今どんな疾患があるのか、全体を見る事ができます。
15:00
教授からの電話。「ちょっと治療計画手伝ってくれへん?」乳癌術後照射の治療計画シミュレーションを。
15:30
技師さんから「造影MRIお願いしま?す」の電話。造影剤注射。
16:00
技師さんから「照合お願いしま?す。」放射線治療IGRTの照射前チェック。
17:00
読影もだいたい終わり。コーヒー飲みながら心はすでに放課後。そんなおり、救命センターからコール。「骨盤骨折来たんで、エンボリ(塞栓術)お願いしたいんですけど。」造影CT見ると出血が見られる。Hbも低い。こりゃ緊急だ!
17:30
血管造影室にてカテーテル治療開始。第二助手として指導医の先生の手技を注意深く観察する。内腸骨動脈の枝に入れるのに難渋するもコイルを詰めて無事終了。新たな出血もなさそうで一安心。
20:00
読影室でお菓子をつまむ。今日も一日お疲れさまでした。
血液内科のちょっと忙しい一日
研修医 安部 美希子 大熊 康央
※あくまでもフィクションです(笑)。血液内科ローテートの記事と併せてお楽しみ下さい・・・
8:30
出勤
爽やかな朝である。着替えを済ませて病棟に行く。ミーティング中の看護師さん達の脇で電子カルテを開く。オーベンが来る前に担当患者の採血データをチェックだ。当院血液内科は50床フル稼働。関西有数の規模である。血球減少の患者さまが多く、輸血のオーダーは朝一にしなければ。
カルテチェック、オーダーなどしていると、「せんせー!●●さん昨日から熱出てます。」「○○さん薬飲むの拒否してるんですけど」看護師さんからの矢継ぎ早に報告が飛んできます。オーダー済ませて患者さまの顔を見に行く。
9:00
オーベン登場。それまでの出来事を報告しながらディスカッション。治療方針から、家族説明の段取り、投薬内容などについて確認。その後、朝の回診に。
9:15
回診中、外来からコール。「ルートキープお願いしまーす。」外来通院にて輸血や抗がん剤投与を受けている患者さまに留置針を穿刺するのは主に研修医の仕事である。抗がん剤投与で堅くなった血管穿刺はなかなか技術を要する。
「先生に刺してもらうとちっとも痛くないわー」なんて言われた日には足取りも軽やかである。 うまくいかず、冷や汗をかく日もあるが。
9:30
再び回診に。患者さまの声に耳を傾ける。不眠、疼痛など根本的治療だけでなく、その他不定愁訴にも耳を傾ける事が大切だと指導を受けている。
10:00
病棟にて一息ついている頃、外来からのコール「先生、マルク(骨髄穿刺)2件入りましたー」「はい、喜んでー!」外来へ駆け下りる。
骨髄穿刺は痛くないように骨膜周囲に入念に局所麻酔薬を注射することが大切である。「はい、こんにちは。」うーむ、ちょっとobestyが強そうだ。骨棘を見極めなんとか一度で採取完了。
13:30
外来が一段落したころ、「食事いこかー」。教授から声がかかる。少し遅い昼食である。
14:00
明日から抗がん剤治療を始める患者さまに上腕から静脈カテーテルの留置を行う。エコーガイド下にまず血管穿刺!少しそれてしまった。難しい。二度目でうまく入った。セルジンガーだ。ガイドワイヤさえ入ればあとは楽勝。
15:00
治療効果判定目的で骨髄穿刺が1件。お互い慣れっこでスムーズに終わる。
15:30
朝オーダーした輸血が届く。輸血実行の認証から接続は医師が行う。本日の輸血は怒濤の赤血球、血小板併せて20本。輸血の有り難さがよくわかる。
16:00
看護師さんからcall「先生、○○さんに輸血後皮疹が出ています!
すかさず患者さまのもとへ。確かに膨診が出ている。輸血によるアレルギーか。投与中断してステロイド投与。幸い改善してきたので、投与速度を落として再開。無事終わった。
16:30
夕方の回診。新たに抗がん剤治療を始めた患者さまなど特に入念に診察する。
17:00
「○○さんのご家族さん到着しました」患者さまの治療経過の報告、今後の治療方針について説明を。
17:30
製薬会社主催の勉強会。
18:30
病棟でオーベンと明日以降の方針についてディスカッションして解散。研修医室に戻って同期達と談笑。
19:00
さあ帰ろう。鈴虫の音色を聞きながら。