研修医 今村 修三(2016年度採用)

近畿大学医学部奈良病院では月1回、研修医向けにモーニングセミナーが開催されます。今回は、救命救急科の平田淳一先生による講義でした。平田先生自身が最近経験された2例を紹介され、それぞれの経過から救急疾患を診察・治療する上での注意事項をまとめてくださいました。1例目は『び漫性肺胞出血』という珍しい疾患の治療経過でした。病状が改善しない一方で、なかなか診断がつかず治療に難渋しましたが、ステロイド投与が著効した症例でした。確定診断が得られない場合でも、病態をイメージしながら救命のために必要な治療を投入していく姿勢が大切であることを学びました。2例目は、意識障害と呼吸不全で救急搬送された患者さまの治療経過でした。たとえ心不全の併存があっても、呼吸不全の原因が心不全(肺水腫)だと短絡的に決めつけることは非常に危険であることを改めて認識しました。
ある程度治療方針が決まっている予定入院の患者さまの治療とは異なり、救急の現場では、判断力やスピード、あきらめない精神力も必要だと感じました。前期研修も残り半分を過ぎましたが、救急対応に必要な臨床力も向上させられるよう頑張りたいと思います。

指導医のよ・こ・は・い・り
救命救急科 平田 淳一

早朝から、コーヒー片手に割とラフな雰囲気で始まるモーニングセミナーは、どこか海外の学会につきもののearly morning workshopに似ており、まさに"早起きは三文の徳"を地で行く勉強会です。その雰囲気を大切にしながらこの度の講演に臨みました。
私どもの救急患者さまは、疾患名を掲げて搬入されることは稀であり、さらに、速やかに診断できることも稀であります。その間に病態は秒単位で"変化"しますので、治療しながら診断していく(診断的治療)手法がよく取られます。この度は、比較的稀な「びまん性肺胞出血」を提示いたしましたが、この症例もその特徴を強く呈しており、常に死と隣り合わせの病状でした。スタッフ一同の総意と総力を結集してなんとか乗り切ることのできた成功体験でした。

この症例が僕に教えてくれたこと、すなわち皆さんに伝えたかったことは、"決して諦めない気持ち"と"患者さまとそのご家族の気持ちを自分の情熱に変える"ことの大切さです。日々の臨床を通しての勉強で、私たちの医学的"知識"と"量"は増やすことができますが、経験上、それだけでは病気を治すには至りません。全くの他人に同情し"情熱"を燃やす術を持つことができるのは我々医師において他にないと考えるのです。この気持ちを持ち続けたことがこの症例のkey pointです。
最後に、「チーズはどこへ消えた?(Who moved my Cheese? It's not fair!)」から、"変化"の重要性をご紹介しました。今回のモーニングセミナーが、ご自身の医療の価値観をさらに良いものへと"変化"させる一助になれれば、と思います。

研修医 西崎 絵理奈(2015年度採用)

今回のモーニングセミナーは皮膚科・磯貝先生による『臨床の場での注意を要する薬疹について』でした。講義は、SJSやTENといった早期に診断・治療をしないと命にかかわるような重症型の薬疹の話から、局所麻酔のアレルギー反応、現在問題となっている麻疹(はしか)の皮膚・粘膜症状の特徴、ピロリ菌除菌薬による薬疹、アレルギー診断のための各種検査の違いと注意点など、多岐にわたっていました。また皮膚科にコンサルトするときの依頼文の書き方も説明して頂きました。講義を聞いて、薬疹の恐ろしさを再認識できましたし、その他にも今後の診療に役立つ内容満載でした。皮膚科独特の迫力のある写真で眠気がふきとんだ上、見やすいスライドとわかりやすい説明でとても楽しく勉強することができました。

指導医のよ・こ・は・い・り
「臨床で注意をしたい薬疹」
皮膚科 磯貝理恵子

今回、モーニングセミナーで薬疹について研修医の先生方にお話しさせていただく機会をいただき、ありがとうございました。
薬疹は医師である限り、常に臨床現場で起こりうる事象です。軽度なものから生命にかかわるTEN型薬疹(中毒性表皮壊死症)まで様々な症例に出会う可能性があります。内服歴があれば、どのような症例でも皮疹が出現すれば薬疹を鑑別にあげる必要があります。薬疹の治療の第一歩は中止することです。軽度の場合は内服中止のみで無治療でも皮疹は数日で軽快していきますが、薬疹の皮疹が出現しているにもかかわらず、内服を続けると皮疹は悪化し、重症薬疹になる可能性があります。
薬疹は感作されてから10-14日後に皮疹が出現するとされています。しかし、以前に感作されていても内服日数が短く、初回時には皮疹が生じなかった症例では、再度内服するとすぐに皮疹が生じる場合があります。以上から内服直後から約14日までは薬疹の可能性があります。診察に必要ことは、患者さまの内服歴を詳細に聞くことです。
今回のセミナーが研修医の先生方のお役にたてれば幸いです。なにか、疑問点がありましたら、いつでも皮膚科に連絡ください。

血液内科 長原 大

近畿大学医学部奈良病院では月1回、土曜日の8時15分から、業務開始の9時までの時間を利用して、モーニングセミナーというものがあります。主に研修医の勉強目的で、各科の先生方に専門分野の講義をしていただくのですが、研修医のみならず、病院中の先生方も自分の専門外の話を是非聞きたいと、大勢参加されます。学会や講演会などと違って、同じ病院で働いている先生の講義ですので、気軽に質問ができ、とてもいい雰囲気で勉強することができます。

例を挙げて説明すると、2015年2月に行われたモーニングセミナーは、当院の循環器内科 横田良司先生による不整脈についてのセミナーでした。横田先生は不整脈の分野で大変有名な先生で、カテーテルアブレーションを数多く手掛けていらっしゃるスペシャリストです。そのスペシャリストの不整脈の話を聞けるとあって、普段より多くの先生方が参加されました。不整脈の基本的な原理はもちろんのこと、こういう場合は緊急を要するので循環器内科に相談してほしいというように、臨床的なことに結び付けての講義だったので、研修医はもちろんのこと、他科の先生方も熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

学生の皆さんは、せっかくたくさん勉強して国家試験に合格したのに、医者になってもまだ勉強かよ!と思うかもしれませんが、実際に患者さまを主治医や担当医として受け持つと、勉強の必要性を痛感します。この意味は皆さんが実際に医師として働き出すと、わかっていただけると思います。

学生の皆さんは、せっかくたくさん勉強して国家試験に合格したのに、医者になってもまだ勉強かよ!と思うかもしれませんが、実際に患者さまを主治医や担当医として受け持つと、勉強の必要性を痛感します。この意味は皆さんが実際に医師として働き出すと、わかっていただけると思います。

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